今回はレコードの買取について具体的に述べるのではなく、買取をめぐって少し抽象的なことを述べてみたいと思います。
些かこじつけるような言い方になりますが、普段アナログレコードを購入するという行為自体も「買取」と同じ「買い取る」というものですが、その場合買い取ったものをコレクトするかそれを商材にするかの違いがあります。
例えばアナログレコードを買う際、オリジナルファーストプレスを求めようとするならばそのための知識が必要になります。
しかしインターネットが普及した今日において、実物が目の前になくてもデータや画像を参照することでファーストプレスかセカンドプレス(再発)かという見極めも容易になりました。
それのみか価格相場も簡単に調べられるようになり、新たに判明したレコードのマトリクスなどの情報などもネット上にすぐにアップされて皆で共有できるようになりました。
そうした情況をふまえると、インターネットが普及する前の、実物に触れて得た専門的な知識が今どれくらい役立つのか、少々疑問になってくるのが正直なところです。
インターネットでオリジナルか再発かどうかを個人で調べ、そして手元に届いたレコードを確認するところまでで完結してしまっているので、もうそれでいいのではないかと思ったりもします。
さらにインターネットの普及とそれに伴う形で検索エンジンの技術も向上しているので、アナログレコードショップの買取スタッフであろうとそうでなかろうと、知識はかなり均一化されて両者の差は殆どなくなっているように思われます。
しかし実際に日々レコードに触れて査定をしてゆきますと当然人気のあるタイトルやオリジナルのものばかりと出会うわけではありません。様々な特徴をもったレコードと出会うことになります。もちろん、そのせいでオリジナルかどうかの判断を誤ったりもするわけですが、この惑わされて失敗するという経験や実際のレコードに触れて得た知識、つまり感触を伴った知識や経験を持つことで文字情報の氾濫に左右されない判断ができたりもします。
とはいえ次々と新たな特徴をもったレコードが現れてくるのでその中で正解を求めてゆくという作業は容易ではありません。ましてや値入を含めたアナログレコードの買取査定には絶対的な正解がないのでこうした作業は困難を極めます。
このことは査定をやったことのあるものの共通認識だと思っています。しかし困難であるがゆえに必ずしもつらいばかりでなく、ネット上に遍在するデータと先述した経験とをすりあわせながら査定を進めると必ず面白さが生じてきて、困難であるがゆえの楽しみを味わえます。
ですから、インターネットで得る知識も大事ですが、感触を伴った知識や経験を共有できる場所がなくならないようにアナログレコードを取り扱う面白さが少しでも伝えられればと思っています。
さて、ここまで大変大づかみな捉え方で要領を得ないことを述べてしまったような気もしますが、傍らに積まれたレコードの査定が終わらないので、今回はこの辺で切り上げたいと思います。
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